P. T. フォーサイス[著]川上直哉[訳著]活けるキリストのレビュー
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フォーサイスの「福音をめぐるより深い理解を提示した」エッセイ『啓示とキリストの人格』中から抜粋した6断章(本書116頁)を読み、その「真の光」の輝きとその透明性に慄き、喜びました。危機を生き抜く「お金では買えない」聖なる永遠の命の証しの言葉。啓示は「贖い助け救うことだ」ということの中心的把握は見ごと。
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最初の章「活けるキリスト」の中に、「私たちが必要としているのは『活ける贖い主』なのです」と、たたみかけるように3回繰り返される場面がある。フォーサイスが一番伝えたかったことなのだろう。
イエスを「歴史的」な存在と見ることに対しフォーサイスは「それではダメだ!」と繰り返し叫ぶ。「私たちは『活けるキリスト』を信じなければならない」のだと。私たち一人一人と向き合うキリストを、永遠に人と神をつなぐ不滅の存在・「仲保者(とりなしびと)」として信じてこそ、神をも心を通わせられる活き活きとした存在として信じられるようになるのです、と。川上直哉氏の翻訳のおかげもあってか、そんなフォーサイスの言葉の一つ一つが力強く心に響いた。
中盤の、フォーサイスの人となり等に関する章は私は少々退屈に感じたが、最終章の「危機」に関する川上氏の論考には、特に自然災害やパンデミックのような人間の力の及ばないような事象を「処罰」とみなすような、神を信じる者が陥りがちな思考の問題点については色々考えさせられた。
上に少し述べたが、内容もさることながら、「神は人を包摂し…」「命脈を保つ」「大宇宙の後塵を拝する」など翻訳も美しいと思った。
本書は濃い内容が短くまとまっていて読みやすく、値段も手ごろなので、私のような不真面目なクリスチャンから敬虔なクリスチャンの方まで、どなたにもおすすめしたい。
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