ダイアン・ラングバーグ[著]前島常郎 [訳]パワハラ・セクハラとキリスト教会 権威とその乱用のレビュー

ダイアン・ラングバーグ[著]前島常郎 [訳]パワハラ・セクハラとキリスト教会 権威とその乱用
ダイアン・ラングバーグ[著]前島常郎 [訳]パワハラ・セクハラとキリスト教会 権威とその乱用

聖書は、神さまが書いたものでしょうか?人間が書いたものです。教会では、「神さまの言葉を聞いて下さい」などと言われても当たり前のような顔をして聞いている信徒も多く、本当に神さまが言った言葉として聞いている方もいるのかと驚かされます。教会やキリスト教界についても、神やイエス・キリストと混同しているのではないかと思わせられることもしばしばです。
ラングバーグさんのこの本には教会もキリスト教界も「単なる人間の作った組織」と書かれていて安心させられます。キリスト教界の一部は、神の真理や愛よりも権威に関心があるのかと思われるほど、組織の権威や指導者を守ることに精一杯になっているように感じられます。殊に性暴力に関して、これまでどれだけ被害者を攻撃し、加害者を擁護してきたかを見ればわかるでしょう。
ラングバーグさんは、指導者が知識、知性、能力を持っていさえすれば、やすやすと権力をふるうことができ、キリスト教界もこの世の国や王など、世俗的な権力と一体化してきたことを指摘しておられました。
ラングバーグさんは、「神の国においては品性が最優先です。」と何度も言い、イエスに倣うように何度言っていますが、何故このような権力的な教会が多いのでしょうか?ローマ帝国の時代に作られた教会の歴史的な組織的な問題や、教会があるこの社会の構造的な問題と別に信仰のあり方だけで考えるのは難しいでしょう。ラングバーグさんにないジェンダーの視点も不可欠です。
創世記1章と2章以降は別の時代の人間によって書かれたものです。人間とともにこの世界の他の被造物・動物や植物も神によってつくられたものであり、地球も動植物も人間の支配の対象なのではありません。
神によって創造された人間はそれぞれによく、自由を与えられたエバがリンゴを食べたこと、アダムから人間が引き継いだ「原罪」などという話は、5c.のアウグスティヌスの創作です。女が罪深いとし、男性への女性の従属を「神の秩序」としたのは誰なのでしょうか?

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オオキさん